自動車の相続 判決や審判調停調書を原因証書とする場合に戸籍が必要?

先日遺言書補完制度に基づく遺言書情報証明書を原因証書とする場合においては不動産登記の場合は別途遺言者の戸籍謄本が必要と法務局が見解を示しているにもかかわらず国土交通省は戸籍の添付は不要とする見解を実施要領という通達に示したことについてまとめたところです。

あの記事を投稿したのちに実施要領の相続手続き部分について修整があった旨連絡がありました。

てっきり遺言書証明情報について法務局の見解に合わせる形で実施要領の修正が行われたのかと思いましたがそこは国土交通省(笑)

その部分は手つかずのままで別の部分につき修整が行われたのですがそれによりさらに相法務局の見解とはかけ離れることになってしまったのです。

以下「自動車の相続 判決や審判調停調書を原因証書とする場合に戸籍が必要?」としてまとめていきます。












➀自動車の相続に関しての実施要領の修正点



まずは今回国土交通省が通達の中で行った修整点について具体的にお話しします。
一言で言うならば相続の原因証書が判決・調停調書・審判調書の場合の手続きの際の戸籍謄本の添付についてです。

従来は調停調書や審判調書を原因証書とする場合は自動車の所有者として登録を受けている被相続人の死亡の事実が確認できる戸籍謄本の添付が必要とされていました。

しかし今回の修整によりこの部分に新たに判決による場合も加わることになったのです。

➁原因証書が判決や調停・審判調書の場合の登記先例まとめ



ではこのてん不動産登記の場合はどうなっているのか法務局の見解をみていきましょう。

まず原因証書が調停調書や審判調書の場合「調停調書または審判書中に被相続人の死亡年月日が記載されてる場合は被相続人の死亡を証する除籍抄本等は添付する必要がない」(昭和37年5月31日民事甲1489号)という扱いになっています。

そして原因証書が判決の場合「確定判決の理由中において甲の相続人は当該相続人らのみである旨の認定がされている場合は、相続人全員の証明書に代えて、当該判決正本の写しを相続を証する書面(登記原因証明情報)として取り扱って差し支えない」(平成11年6月22日民三1259号)という扱いになっています。

一応調停調書や審判調書に被相続人の死亡日が記載されていない場合や確定判決理由中に相続関係が明記されていない場合などは戸籍謄本の添付が必要とはなるものの実務上これらが記載されていないということはほぼありません。

そのため不動産登記においては判決や調停・審判調書を原因証書とする場合は戸籍謄本の添付が必要となる場面はほぼほぼないのです。










⓷自動車の相続 法務局の見解との乖離が止まらない!



さてここで自動車の相続に戻ります。

従来は原因証書が確定判決文・調停調書・審判調書のうち後者の調停・審判については戸籍が必要という立場だったところ今回の修整によって新たに判決も加わったことになります。

勘のいい方ならばもうお分かりかと思いますが修整前から法務局の見解とは乖離が見られたことになります。

しかし今回の修正で被相続人の死亡の事実が確認できる戸籍謄本の添付が判決の場合も必要とされたことでより法務局の見解との乖離が広がることになってしまったのです。



⓸国土交通省が最近法務局の登記先例を無視して暴走する不思議



さてここでですが「法務局は法務局!そもそも登記先例を自動車の登録手続きに当てはめるのがおかしいのでは?」とする見解があります。

ところが我々の業務マニュアルの中には実施要領に加え質疑応答集というものがあります。

これは難しい特殊ケースの際の処理方針を示したマニュアルなのですがこのなかで対応方針の根拠として示された指針は登記先例をその根拠としているものがほとんどです。

そもそも不動産登記も自動車登録も所有権の公証という共通点があるため処理方針は一致させてしかるべきところ。

そのため登記先例を参考にしているものと思われるのですがどうも最近登記先例を無視した形での国土交通省の暴走が目に余る状態となっているのです。

⓹「自動車の相続 判決や審判調停調書を原因証書とする場合に戸籍が必要?」まとめ



以上「自動車の相続 判決や審判調停調書を原因証書とする場合に戸籍が必要?」でした。

ちなみに私個人の処理方針ですが実施要領に反する形でまんまんです(笑)
原因証書内で被相続人の死亡日などが確認できれば戸籍は求めません!

車検証電子化などどうでもいいことにコミットし暴走を続ける国土交通省にささやかな抵抗を試みたいと思います。











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