民事訴訟法226条による裁判所からの文書送付の嘱託とは?登録事項証明書を交付する義務はある?
本ブログで度々お話ししていますが私は自動車の名義変更を行う自動車登録官としてとある車検場の登録窓口に勤務する現役の国家公務員。
日々の仕事で法律の勉強になったことについてときたま備忘録としてまとめているところです。
先日非常に勉強になった案件がありました。
それが民事訴訟法226条に基づく裁判所からの文書送付の嘱託依頼です。
不動産の登記事項証明書に相当する自動車の登録事項証明書を交付してほしいという嘱託依頼だったのですが果たして裁判所に登録事項証明書を交付する義務はあるのか?
以下「民事訴訟法226条による裁判所からの文書送付の嘱託で登録証明書を交付する義務はある?」としてまとめていきます。
公務員として個人情報を取り扱う仕事をしていると色々な行政機関から法律に基づいて照会が来ることがあります。
その代表例が刑事訴訟法197条第2項に基づく警察からの捜査関係事項照会書です。
警察が事件の捜査のために必要な情報を入手するためにほぼ毎日のように照会文書が届きます。
刑事訴訟法197条2項 捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
さて行政機関から車検場に来る照会文書はそのほとんどが上述の警察からの捜査関係事項照会書。
それ以外の機関からは税務署や福祉事務所がほとんどといったところです。
ところが先日裁判所から見慣れない照会文書が届きます。
それが今回のテーマである民事訴訟法226条を根拠とした文書送付の嘱託依頼です。
裁判では真実を明らかにするために証拠が重要ですよね。
ところがその証拠となりそうな文書を裁判の相手方や第三者が持っている場合入手するのはなかなか困難です。
そのような場合に裁判所の力を借りて相手方や第三者が持っている証拠となりそうな文書を入手する方法がこの民事訴訟法226条を根拠とした文書送付の嘱託という制度です。
○民事訴訟法第226条
書証の申出は第219条の規定にかかわらず文書の所持者にその文書の送付を嘱託することを申し立ててすることができる。
ただし当事者が法令により文書の正本又は謄本の交付を求めることができる場合はこの限りでない。
さてこの民事訴訟法226条の文書送付嘱託ですが・・・実は従うかどうかは完全な任意。
そのため法的な強制力はありません。
ところが私は公務員。
判例(昭和51年2月14日東京地裁)で「官公署においては司法事務に協力し訴訟における事実発見に資するよう協力すべき公的な義務がある」と示されています。
任意だからスルーするというわけにはいかないのです。
さて残念ながら立場上任意だからスルーというわけにもいかない今回の裁判所からの文書送付の嘱託依頼・・・最終的にどのような対応をしたかをお話しします。
結論としては今回の文書送付嘱託の内容が登録事項証明書である以上は裁判所に交付することはできません。
その理由は民事訴訟法226条の但し書きです。
登録事項証明書は法律で何人も請求できる制度として設けられている証明書のためこの民事訴訟法226条による文書送付嘱託によって交付することはできないのです。
○道路運送車両法 第二十二条
何人も国土交通大臣に対し登録事項その他の自動車登録ファイルに記録されている事項を証明した書面(以下「登録事項等証明書」という。)の交付を請求することができる。
以上「民事訴訟法226条による裁判所からの文書送付の嘱託とは?登録事項証明書を交付する義務はある?」まとめでした。
ちなみにこの内容の回答を嘱託先の裁判所書記官の方にお伝えしたところ少しご納得いただけない様子だったのですが・・・私の持っていた民事訴訟法の参考書にしっかりと「民事訴訟法226条の文書送付嘱託により不動産の登記事項証明書は交付できない」とバッチリ書いてあったためその文献を送付し自動車の登録事項証明書も同じである旨お話しご納得いただきました。
本当に日頃からの勉強の積み重ねが大事だと痛感した一日でした。
日々の仕事で法律の勉強になったことについてときたま備忘録としてまとめているところです。
先日非常に勉強になった案件がありました。
それが民事訴訟法226条に基づく裁判所からの文書送付の嘱託依頼です。
不動産の登記事項証明書に相当する自動車の登録事項証明書を交付してほしいという嘱託依頼だったのですが果たして裁判所に登録事項証明書を交付する義務はあるのか?
以下「民事訴訟法226条による裁判所からの文書送付の嘱託で登録証明書を交付する義務はある?」としてまとめていきます。
➀官公署からの照会文書 代表例の警察からの捜査関係事項照会書
公務員として個人情報を取り扱う仕事をしていると色々な行政機関から法律に基づいて照会が来ることがあります。
その代表例が刑事訴訟法197条第2項に基づく警察からの捜査関係事項照会書です。
警察が事件の捜査のために必要な情報を入手するためにほぼ毎日のように照会文書が届きます。
刑事訴訟法197条2項 捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
➁裁判所からの民事訴訟法226条を根拠とした文書送付の嘱託依頼
さて行政機関から車検場に来る照会文書はそのほとんどが上述の警察からの捜査関係事項照会書。
それ以外の機関からは税務署や福祉事務所がほとんどといったところです。
ところが先日裁判所から見慣れない照会文書が届きます。
それが今回のテーマである民事訴訟法226条を根拠とした文書送付の嘱託依頼です。
裁判では真実を明らかにするために証拠が重要ですよね。
ところがその証拠となりそうな文書を裁判の相手方や第三者が持っている場合入手するのはなかなか困難です。
そのような場合に裁判所の力を借りて相手方や第三者が持っている証拠となりそうな文書を入手する方法がこの民事訴訟法226条を根拠とした文書送付の嘱託という制度です。
○民事訴訟法第226条
書証の申出は第219条の規定にかかわらず文書の所持者にその文書の送付を嘱託することを申し立ててすることができる。
ただし当事者が法令により文書の正本又は謄本の交付を求めることができる場合はこの限りでない。
⓷裁判所からの民事訴訟法226条を根拠とした文書送付嘱託依頼 送付する義務はある?
さてこの民事訴訟法226条の文書送付嘱託ですが・・・実は従うかどうかは完全な任意。
そのため法的な強制力はありません。
ところが私は公務員。
判例(昭和51年2月14日東京地裁)で「官公署においては司法事務に協力し訴訟における事実発見に資するよう協力すべき公的な義務がある」と示されています。
任意だからスルーするというわけにはいかないのです。
⓸裁判所からの民事訴訟法226条による文書送付嘱託で登録事項証明書は交付できない!
さて残念ながら立場上任意だからスルーというわけにもいかない今回の裁判所からの文書送付の嘱託依頼・・・最終的にどのような対応をしたかをお話しします。
結論としては今回の文書送付嘱託の内容が登録事項証明書である以上は裁判所に交付することはできません。
その理由は民事訴訟法226条の但し書きです。
登録事項証明書は法律で何人も請求できる制度として設けられている証明書のためこの民事訴訟法226条による文書送付嘱託によって交付することはできないのです。
○道路運送車両法 第二十二条
何人も国土交通大臣に対し登録事項その他の自動車登録ファイルに記録されている事項を証明した書面(以下「登録事項等証明書」という。)の交付を請求することができる。
⓹「民事訴訟法226条による裁判所からの文書送付の嘱託とは?登録事項証明書を交付する義務はある?」まとめ
以上「民事訴訟法226条による裁判所からの文書送付の嘱託とは?登録事項証明書を交付する義務はある?」まとめでした。
ちなみにこの内容の回答を嘱託先の裁判所書記官の方にお伝えしたところ少しご納得いただけない様子だったのですが・・・私の持っていた民事訴訟法の参考書にしっかりと「民事訴訟法226条の文書送付嘱託により不動産の登記事項証明書は交付できない」とバッチリ書いてあったためその文献を送付し自動車の登録事項証明書も同じである旨お話しご納得いただきました。
本当に日頃からの勉強の積み重ねが大事だと痛感した一日でした。
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